ウロギネ女性の会 「市民公開講座」

ウロギネ女性の会主催の第4回市民公開講座が、開催されました~

札幌で開催された骨盤臓器脱手術手技研究会の日程に合わせて

特別講演を、名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科部長の加藤久美子先生にお願いしました


タイトルは 「いつかかるか? 排泄の悩みごと ~その悩み、あなただけじゃない~」

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あなただけじゃない、なんて言われると、それだけで安心しますよね


会場は 札幌エルプラザ3階 札幌市男女共同参画センターホール

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私は初めて行ったけど、札幌駅のすぐそばで、とても立派な建物

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いろんな部屋があって、市民の皆さんが趣味の会合を開いていました


そしてセンターホールは階段状の座席があって、コンサートも開催できるほどの大きさ



第一部は

「便秘の話と骨盤底筋体操」

演者は日本コンチネンス協会北海道支部長の大科宣子さん

実際に、その場で骨盤底筋体操の実技指導が行われ・・・

大科さんは時計台記念病院で排泄ケア外来と骨盤底筋体操教室をおこなっていて

排泄についてのエキスパート

体操の指導もとても上手ですね



次に、声楽講師の方によるミニコンサート

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コンサートの最後は会場の皆さんも一緒に 「千の風になって」 を合唱

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すっかり皆さんの緊張が解けたところで、第二部へ



第二部は、特別講演

加藤久美子先生の 「いつかかる?いつ手術する? 現場から見た腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱」

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僭越ながら私が司会を務めさせていただきました


腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱の原因は、加齢や出産による骨盤底筋の弛みなのです

その、二つの病気の病態や症状、治療法について・・・

ご自分の体験や、医師としての歴史もまじえて、面白く、楽しく1時間にわたってご講演されました


さすがにお話しがお上手です

聴衆を引き込む力は素晴らしい

勉強になります 




加藤先生は私の1年先輩で、大学は違うけれど、泌尿器科女医としてほぼ同じ時代を生き抜いてきた同志のような存在

そして、私と加藤先生にはとても古いつながりがあるのです



加藤先生が、日本泌尿器科学会総会で尿失禁の実態調査を発表したのが1986年

当時、尿失禁は年のせい・・・、などと言われて泌尿器科医もあまり興味を示さず

患者さんも、恥ずかしさで病院を受診することもなく

年だから仕方ない・・、とあきらめていた時代


そんな時、加藤先生の発表は学会に衝撃を与え、マスコミにもとり上げられました

尿失禁で悩んでいながら病院に行けない人が大勢いる、という実態が明らかになったから



実は、私の学位論文の指導をしてくれた助教授も、以前から尿失禁に興味を持っていて

これからは女性の尿失禁が注目される時代が来る・・・、と考えていて

そんなタイミングで、加藤先生の発表は助教授のアンテナを刺激

突然私が助教授室に呼ばれ

「他人のデータでは説得力がない、自分で尿失禁の実態を調査しなさい」 という命令が下り

えっ・・・、私がですか・・・、マジで・・・?

何故私だったか…というと、他の先輩や同級生がみんな辞退した(逃げた?)から・・・

恩師の命令には逆らえない私は、「わかりました・・・」 と応えるしかなく・・・

やらなきゃならないと思えば、できるかできないか、なんて考えもしないのが私の悪い癖

開業する時もそうでしたが・・・



やはり、それからが結構大変でした

学位論文が終わった後とはいえ、忙しい臨床の中で、まずはアンケート項目を吟味し

アンケート用紙を作成、印刷・・・

経費節減のために、というか経費がないので、自力で・・・

アンケート対象者は、岩手県内の医療機関に従事する看護師さんにご協力いただくこととして

県内の岩手医大関連病院の部長先生と、開業医の先生に電話で承諾をいただき


盛岡市内は比較的楽だったけど

岩手県は広いですからね、その県内を一人で回ってアンケート用紙を届けた時は、きつかった・・・



一日だけ仕事の休みをいただいて、

朝暗いうちに自分の車で一人で盛岡を出発

まずは峠越えで遠野へに向かい、そこから沿岸の大船渡病院へ

沿岸を北上しながら、釜石、山田、宮古、久慈の県立病院へ


各病院で看護部長さんにアンケート用紙をお渡しして、丁重にお願いし・・・


久慈病院から盛岡に戻った時には、既に真夜中・・・

翌日にはいつもどおりの仕事が待っていて


それにしても、結構体力ありますねぇ・・・



そんな努力が実って、アンケートの回答は2200人に上り、貴重なデータを得ることができました

2200枚のアンケート用紙の分析は大変な作業だったけど・・・

結果は「就労女性における尿失禁の実態」として、1989年の日本泌尿器科学会東部総会で発表し

翌年には論文として発表

さらに、1991年にセビリアで開催された国際泌尿器科学会で発表しました



アンケート結果では、20代から60代までの就労女性の20%に尿失禁の経験があるにもかかわらず、

病院を受診したことがあるのは、わずか1%


これではいけない、と思い、1991年から岩手医大に尿失禁外来を開設し

私が札幌に戻る2002年までの11年間、毎週木曜日の午後には大学に行って尿失禁外来を続けていました


でも、尿失禁外来を始めたのは良いけれど、最初のうちは女性の患者さんはほとんど受診されず

来るのはおねしょの子供ばかり・・・


なんとかしなければ、と思い、近隣町村の役場からの依頼を受けて、公民館で尿失禁の講演をしたり

盛岡市医師会のご厚意で、他科の先生の勉強会に呼んでいただいたり

テレビ出演したり・・・


一人で細々とやっていましたねぇ・・・

いつか日の目を見る時が来ることを信じて・・・



思えば、もともと移植や腎臓病を志して泌尿器科医になった私が

加藤先生の尿失禁の発表を見た時に

名古屋にはすごい女医さんがいて、頑張っているなぁ・・・、私も頑張らなきゃぁ・・・と目標にして

それがきっかけで、女性泌尿器科の世界に足を踏み入れることになったのですから

加藤先生は私の憧れであり、ある意味私の人生を変えた人・・・


そして、その憧れの人の特別講演の司会をする日が来るなんて・・・

感慨深いものがありますねぇ


そんな、一生懸命だった若き日を懐かしく思い出しながら、加藤先生のご講演を拝聴し



最後は会場の皆さんからあらかじめお受けしていた質問にお答えする形での、パネルディスカッション

加藤先生と、大科さん、時計台記念病院リハビリテーション科の小島さん(ウロギネ女性の会副会長)、ウロギネ女性の会代表のお二人、そして私が壇上に

一時間にも及ぶ活発なディスカッションが行われたのです

加藤先生の実臨床のお話し、実際に手術を受けた患者さんの経験談、看護師さんとリハビリから見た排泄ケアの重要性・・・、などなど

話しは尽きないほど、充実した内容でした



こうして、盛況のうちに市民公開講座は無事終了~




ところで、後日ウロギネ女性の会の鈴木眞智子会長からうかがったお話しでは

講座終了後に、ウロギネ女性の会入会希望の方が、受付に沢山お見えになって、一時混乱するほど・・・、だったとか・・・

これも、鈴木会長の長年の努力と、加藤先生のお力ですね

本当に有意義な会でした


今日私の外来にいらした患者さまからも 「とても良かったです!!」 と喜びの声をいただき、一安心・・・




加藤先生、これからも益々のご活躍楽しみにしております

また、何かの折にお会いできれば嬉しいです



鈴木さん、お疲れ様でした

努力は報われますね

「患者も学ばなければならない」 という姿勢には脱帽です

いつも応援しています

これからも、頑張ってくださいね!!



私も頑張らなければ・・・

この記事へのコメント

太朗冠者
2013年12月20日 05:28
加齢ですと言う迷信 コワイですね。

しろくま
2013年12月21日 09:24
「腎」の健康、
健康長寿の要とも聞いています。
ほのぼの先生の増々のご活躍
御期待申し上げます。
ほのぼの
2013年12月21日 21:39
太朗冠者さんコメントありがとうございます
加齢によって体の機能は衰えるかもしれませんが、治せる病気もありますし、老化をくい止める方法もあります。

諦めなければならないこともありますが、自分の努力で衰えた機能を取り戻せる可能性があれば、やってみるべきですね
ほのぼの
2013年12月21日 21:46
しろくまさんコメントありがとうございます
老廃物の排泄は人間にとって大切なことです。
排泄がうまくいかなければ、食べることができないですから。
腎臓は勿論、膀胱機能を正常に維持することは人間の尊厳にもかかわりますので、とても大切なことですね

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